組織の中でのパフォーマンスと在宅勤務の話
この記事を読んでちょっとモヤモヤしたのでちょっと思考を整理してみます。
あ、LIGのネタ記事はどうでも良いです。
先に言っておきますが当エントリにはid:tm2501氏*1をDisる意図はないです。
論旨の食い違い
言及先の記事に乗っかって書かれているように見えるものの、論旨が食い違っているんですよね。まず、言及先の記事について。
概要としては「在宅勤務を希望するスタッフに在宅勤務をさせてみたところ、(一部で例外はあったが)職場よりも自宅の方が仕事の生産性と満足度が向上した」という内容です。
これに対してid:tm2501氏は
在宅勤務と会社勤務の対比は個人の効率ではない。個人の効率がいい・悪いの議論ではない。特に日本では「在宅と職場のどちらが効率がいい?」という議論も起こらず、半ば思考停止気味に「通勤」は当たり前だ。
と返しているわけですが、それこそ「筋違い」で「わかっていない」と思います。*2
「職場と在宅のどちらが効率的か」という話をしている時に「日本企業には在宅という選択肢がない」というのは論旨が異なりますし、実際には適切に仕事さえ選べば在宅という選択肢はあります。
そもそも言及先の記事には「(在宅勤務に)反対的な意見を持つ幹部に対し、在宅勤務の有効性を示すため実験を行った」とあり、在宅勤務の普及を推進する記事なわけですから「選択肢として増えてくれないかな」というid:tm2501氏にとっては歓迎すべき話なのではないでしょうか。
個人主義なら成果が出せるという幻想
世の中には組織で成果が出せる人と個人で成果が出せる人がいます。
この二つは相反するものではなくて両立出来るものだし、どちらが得意かによって取りうる立ち位置が異なってきます。
ただ、組織の中で他人に評価されるのが嫌だという人間が組織の外でやっていこうとしても、 他人に認めさせるだけの強みや実績がないと個人として結果を出し続けることは難しいです。
大事なことはどちらに向いているかを自分で決めつけず、実際にどちらが成果を出せるのかで考えるべきでしょう。
個人・組織のどちらでも実績のない人間は買い叩かれてしまいます。
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組織に所属した上で在宅勤務をするという選択
前項では「個人か組織か」という話をしましたが、さらに組織の中でも「個人かチームか」というレイヤがあります。
つまり、同じ組織の中で働くにしてもチーム向きの人間と個人向きの人間がいます。組織の中で個人で動ける人間はチームに縛られないので在宅向きかもしれません。
これは「チームで仕事をしたくないから在宅勤務しよう」といった話ではなく、パフォーマンスで分けるべきでしょう。元記事でも言及されてますが「在宅のほうが向いてると自分では思ったけど意外と仕事が捗らない(ので職場に戻る)」というケースは大いにあると思います。
コミュニケーションの話
適切なコミュニケーションを取れる組織になれるかどうかは環境の問題で、この辺はチームビルディングや社内政治の話になってきますね。正直私は苦手なのですが、大体成果を出せばなんとかなります。
中には残念なコミュニケーションをしてくる残念な人(たち)がいるのですが、目に見えて成果を出してる人間に対しては態度が変わってくることが多いです。
成果を出した上でも残念な対応をしてくる場合は……仕方ないですが、吊るしましょう。しっかり成果を出していれば大体周りが味方してくれます。
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それでもダメならフィールドを変えましょう!
日本企業がダメという風潮
やたら日本ダメな話が挙がっているので抽出してみました。
特に日本では「在宅と職場のどちらが効率がいい?」という議論も起こらず
日本ではそんな時代は来なそう
日本的だなぁ…。
日本企業は「仕事単位」ではなく「組織単位」だから
この手の風潮を「日本的」と言ったが
ケミストリーは日本でしか人気がない
選択肢や批判がほとんどない日本から
こういうのよくわからないんですが、そんなに日本がダメで海外はOKなんでしょうか。
私は一時期東南アジアのとある会社と仕事をしていましたが、あまりにグダグダで日本の企業が懐かしくなった記憶があります。
職場の風土について
前述の通りドメスティックな職場やブラックな環境をDisっているようですが、 (id:tm2501氏がどのような職歴を持つかは知らないけれど)世の中そんなステレオタイプの職場ばかりではないと思います。
残念なことに程度の低い職場には程度の低い人たちが集まっていますが、自分の職場や周囲の人間が残念なのは(他人から見た)自分の程度が低いのでその職場で働くことになっているわけです。
その職場で評価されないのは、組織の評価軸と自分の評価軸が食い違っているんだと思います。
また、組織や風土はみんなで作っていくものですし、根本的に相性がよくなければ別の職場を探せば良いのです。
もしどこの会社からも評価されないのであれば、それは自己評価が実績に見合っていないんでしょう。
まとめ
当たり前ですが、在宅勤務ならではの問題(モチベーションの維持やコミュニケーションやガバナンスの問題、成果が測定しにくいなど)があります。
そういう問題を解決した上で実際に成果が出せそうな人が希望すればどんどん在宅勤務に切り替えていくべきです。なので、GIGAZINEの元記事のように試験的に導入を進めていくべきでしょうね。
求められているのは「在宅にいながらオフィスにいるメンバー以上に成果を出す(そして評価をされる)」ことであり、「労務環境が糞だから在宅する」ではないです。
個人的には、しっかりした職場なら別に在宅じゃなくても別にいいよと思いますが、気が向かないときに自宅で仕事をする選択肢は欲しいかな。
おまけ
書いているうちにちょっと自分も論旨がぶれてる気がしてきました。公開するかちょっと迷いましたが、せっかく書いたので公開しておきます。
気になったブコメを掲載しておきます。
オフィスでデスクワークしたことない人に言われてもちょっと…というのはある。 - pribetch のコメント / はてなブックマーク
毎日来いとは言わないが、仕事の難易度と質次第でオフィスでやるべきものもある。 - came8244 のコメント / はてなブックマーク
職場でしか仕事できない人と職場でも仕事できる人は分けて考えるべき。スキルのない社畜は安く買い叩かれる。 - natsumenanigashi のコメント / はてなブックマーク
家だと寝ちゃうような怠惰なわたくしのような人間にとっては職場ありがたいです - ko10buki のコメント / はてなブックマーク
別に職場に行かなくても問題ないし職場に一人で居ることが多いし引っ越して通勤一時間以上になったのに、職場の方が過ごしやすいので暇なら職場に行く。 - n314 のコメント / はてなブックマーク
個人情報や社外秘情報の管理が大変だから出社するもんだと思ってた。 - ddisorder のコメント / はてなブックマーク
超有能な人なら自宅勤務で十分なんだろうけど、そういう人はこんな言い訳をウダウダしなくても今の日本で普通に在宅勤務してると思うの - kotetsu306 のコメント / はてなブックマーク