業務効率改善の見えない効能を考える
一般に業務改善には品質改善と効率改善の二種類があり、今回は効率改善のお話をします。
効率改善の話をする時に「1回の処理あたりどれだけ工数が削減されるか」と「その処理がどの頻度で実行されるか」を元に、改善の施策に投入した時間より多くの時間を回収できるかどうかを検討します。
例えば毎営業日に実行する日次のレポート作成処理60分が30分になったのであれば0.5h * 20(day) = 10h/month
の工数削減効果、月次のレポート作成処理180分が60分になったのであれば2h * 1 = 2h/month
の工数削減効果という具合になるわけです。
作業名 | 実行頻度/月 | 工数(改善前) | 工数(改善後) | 施策効果/月 |
---|---|---|---|---|
日次レポート | 20 | 1h | 0.5h | 10h |
月次レポート | 1 | 3h | 1h | 2h |
主に効率改善の槍玉に挙がるのはルーチンワークです。ルーチン化しているので改善も割と簡単に思いつくということもあるでしょう。
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ただ、「投資した時間が回収出来ない」という事態になると改善自体が承認されないケースがあるのですが、実はそれだけでは色々と見落としているんじゃないかということを最近は考えるようになりました。それは改善対象以外の業務の能率の問題です。
前述の例で言えば、月次のレポート作成で工数を120分とした場合、改善に割り当てられる時間は月2時間です。4半期ベースだと8時間でしょうか。完全に自動化すると月3時間がまるまる浮くので4半期で12時間となりますが仮に改善の施策に15時間かかるとします。この場合15時間の投資に対して12時間しか回収できないのですが、手作業をやっていたことを自動化することでコンテキストを減らす効果があります。言い換えると毎月のスケジュール管理の中から月次のレポートの作成を外してしまえるわけです (実際にはレポートの確認とかがあるのでそこまで単純にはいきませんが)。
出来る限りコンテキストを減らして上げることで普段の能率を上げることとモチベーションの維持が可能となります。また、コンテキストを減らした業務は引き継ぎや共有がしやすいというメリットもありますね。
ということで、今後は業務効率改善の評価基準をもうちょっと見直していこうと思います。